出水の鳥(2012 0210)その2 マナヅル北帰行

この日は朝から曇っていて肌寒かった。
しかし、昼前から日が差してきて、気温も上がってきた。

ひょっとするとマナヅルが繁殖地へ帰る北帰行が見られるかもしれないと期待した。

それはいきなり。始まった。

鶴が激しく鳴き交わしだしたと思ったら、数羽、また数羽と上空へ舞い上がり始めた。気がついたら30羽以上がくるくる回りながら上昇を始めた。

これから高度を上げていきそれから西へ向かうのだろう。
群れの数も次第に多くなっていく。

お互いの存在を確認するかのように大きい声で鳴き交わすマナヅルたち。

かなり上空にあがり、肉眼で小さく見える位になって一気に西へ流れ始めた。

これから対馬などを経由して繁殖地へ散らばっていく。そして子育てを頑張り終えてまたこの出水に晩秋の頃戻ってくる。

越冬地へ渡っていく鷹の渡りも壮絶で見応えがあるが、このツルの渡りは悲壮感を漂わせる。もの悲しい声で鳴き交わしながら渡っていくからだろうか。長島の行人岳などで観察すると海をバックに群れで渡っていく様子がよくわかる。
観察する方には「頑張れよー」と自然と声をかける人もいる。その景色も併せてツルの渡りは一見の価値がある。

マナヅル。北帰行。次第に群れていき、上昇気流に乗って円を描きながら上空高く舞い上がっていく。もの悲しい声が哀愁をさそう。

ある程度高度を稼いだら、次々に西の方向へ。編隊を組んで飛ぶ。

かなり多くの群れ。この写真だけでもツルの声が聞こえてきそうだ。涙腺もゆるむ。ツルの渡りは壮絶な物語を感じる。なぜこれほどまでに悲壮感が漂うのだろう。実際に見ないと伝えられない。